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AIと機械学習、ディープラーニングの違いや活用事例を解説!

「機械学習ってよく聞くけど、結局AIと何が違うの?」「機械学習以外のAIについても知りたい」と思っている人。

「AI」「機械学習」「ディープラーニング」はよく耳にする言葉ですが、違いを正しく理解できている人は多くないのではないでしょうか。

そこで本記事ではAIと機械学習、ディープラーニングの違いについて初心者でも分かるように解説していきます。

本記事で分かる内容は以下の通りです。

  • AIと機械学習、ディープラーニングの違いや具体例
  • 機械学習に用いられる学習方法や学習のルール
  • 機械学習以外のAI手法
目次

AIとは人間の知能を再現する技術

AI(artificial intelligence:人工知能)とは、知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術のことです。しかし明確な定義は存在しません。

AI研究は大きく分けて以下の2種類に分類されます。

  • 弱いAI(特化型AI):個別の分野・領域に特化したAIでお掃除ロボットや顔認証など
  • 強いAI(汎用型AI):人間の感情や思考そのものを機械で再現する試みで、あらゆるタスクを柔軟にこなせる「ドラえもん」のようなAI

現時点で存在するAIは全て特化型AIに分類され、汎用型AIはまだ世の中には存在していません。

AI、機械学習、ディープラーニングの違いは領域の広さ

「AI」「機械学習」「ディープラーニング」の違いは、同心円で表すと分かり易いでしょう。

それぞれのワードは「AI > 機械学習 > ディープラーニング」のように位置付けられます。

画像 (1)まず最初に「AI」という広い概念があり、次に「機械学習」ができ、最後に「ディープラーニング」が登場しました。つまり機械学習は「AI手法の1つ」であり、ディープラーニングは「機械学習手法の1つ」かつ「AI手法の1つ」だと言えるわけです。

まずはそれぞれのワードに包含関係があることを理解しておきましょう。機械学習とディープラーニングについては、このあと詳しく解説していきます。

機械学習とは大量データから特徴や法則性を見つける技術

機械学習(マシンラーニング)とは、コンピューターにデータを与え続け反復学習させることで、学習結果を法則化し、未知のデータを入力したときに推論ができるようになる仕組みのことです。

大量の学習データからそのモノのパターンや特徴、傾向を見つけ出し、法則化(モデル化ともいう)していくのです。

これは人が物事を認識する過程と同じだと言えるでしょう。例えば、私たちは初めて猫を見た時はそれが「猫」だと認識できません。「これが猫です」と教えてもらい、その後に他の様々な猫の種類を見ることによって猫を正確に認識できるようになります。この学習を経た上で、全く見たことがない猫の画像を見た時に「これはこれまでの経験上猫だ」と判断できるのです。

機械学習も同じで、大量の学習データ(例えば猫の画像)を学習させることによって猫の法則性を見出せるようになります。

機械学習における「学習」には以下の3種類があります。

  • 教師あり学習
  • 教師なし学習
  • 強化学習

教師あり学習

教師あり学習は「問題と答え」がセットになっている学習方法です。教師あり学習で利用されるアルゴリズムには「分類」と「回帰」があります。

「分類」は、動物や植物などのカテゴライズを実現するアルゴリズムです。

先ほど例でも挙げたように「猫の画像」と「これは猫です」という答えをセットで学習させることによって、新しいの猫のデータをだして「これは何ですか?」と入力したとき「猫です」と分類できるようになります。ほかには、「スパムメール」を識別するときにも用いられます。

分類の他にも過去のデータから未来の数値を予測する「回帰」も得意です。

例えば、動物園における過去の来客数から未来の来客数を「予測する」といったことも可能になります。また、回帰は株価の予測や気象分析にも利用されています。

教師なし学習

教師なし学習はもともと正解が決まっていない問題を与えられ、そこからコンピューターが自力で回答を導き出す学習方法です。

教師なし学習が行われる目的は「データ分析をして、なんらかのパターンや特徴を見つけ出しクラスタリング(グループ分け)すること」です。

例えば食料品スーパーの顧客のうち「大量の商品を購入する顧客」と「数点しか購入しない顧客」がいた場合、これらの間に何か特定の「正解」はありません。

このような場合でも教師なし学習を用いることによって、「明確な正解」がなくてもある程度の法則性を見出して分類してくれるのです。

強化学習

強化学習は、「データがない状態」からAI自身が試行錯誤を重ねることによってスコアを高めていく学習方法です。

分かりやすい例として「将棋のAI」が挙げられます。

「どのような駒の動かし方が良いのか」は相手の動きや盤面によっても異なるため、その時点で明確な正解はありません。コンピュータが自分自身で対戦を何百万回と繰り返すことによって「どう行動するのが最適になる可能性が高いか」を徐々に明確にしていきます。

かつては囲碁や将棋も人間の方が強かったのですが、現時点ではAIの成長が著しく人間では敵わないほどになっています。将棋棋士の藤井聡太さんがAIと壁打ちをしながら研究をしていることは、有名な話ですよね。

機械学習の活用事例

機械学習は扱うデータの種類や用途に応じて、学習方法が分類されます。
それぞれの具体的な活用例は以下の通りです。

学習方法具体例
教師あり学習・スパムメール
・株価予測
・画像認識
・翻訳
教師なし学習・顧客のセグメント
・クレジットカードの不正利用検出
・音楽のレコメンド機能
強化学習・囲碁や将棋
・ロボット掃除機

こうして見ると「身近な商品やサービス」にも機械学習を用いたAIが利用されていることが分かりますね。

また、機械学習は1つだけの学習方法が用いられているわけではなく、複数利用されている場合もあります。

機械学習で用いられるアルゴリズム

機械学習では、コンピューターがアルゴリズムを使ってデータの法則性を見つけ出します。
アルゴリズムとは、計算や問題を解決するための手順、方式を指すことばです。目的に応じたアルコリズムを選ぶことが大切となります。

今回は機械学習で活用されているアルゴリズムについて、以下の4つをご紹介します。

  • サポートベクターマシン(SVM)
  • 決定木
  • ランダムフォレスト
  • 人工ニューラルネットワーク

サポートベクターマシン

サポートベクターマシン(support-vector machine:SVM)とは、ある集合体を2つのクラスに分け、未知のデータがそのどちらに属するかを判別するアルゴリズムです。

教師あり学習の「分類」と「回帰」において利用されますが、おもに「分類」において効力を発揮します。

2つのクラスを分けている「境界線までの距離」を「マージン」といいます。境界線はマージンが最大になるように引かれ、このマージンを最大化する手法がサポートベクターマシンです。これにより未知のデータの誤分類を避けることが可能になります。

ディープラーニングが出るまでは最も強力なアルゴリズムとして多くの場面で利用されていましたが、現在はディープラーニングの方がより活用されています。

決定木

決定木は、質問を繰り返して最終的に答えを導き出すアルゴリズムです。決定木と呼ばれる樹形図を作成し、予測や検証をしていきます。

医療分野において患者年齢や性別、血圧などの情報から特定の病気を持っているかどうかを予測することが可能です。

ランダムフォレスト

ランダムフォレストは、複数の決定木で出てきた結果を用いて多数決や平均をとって最終的な結果を出力する仕組みです。

複数の決定木を組み合わせることによって、より強力な予測機能を発揮することが期待されます。

人工ニューラルネットワーク

ニューラルネットワークとは、人間の脳が情報を処理する仕組みを模倣した情報処理のための数理モデルです。

後ほど詳しく解説しますが、ディープラーニングに用いられているアルゴリズムであるため近年利用される機会が増えつつあります。

ディープラーニングとは機械学習の1種

ディープラーニング(深層学習)は多層の人工ニューラルネットワークを用いてパターンや特徴を学習する手法です。

人工ニューラルネットワークは階層構造になっており下層から上層へと情報を伝達します。

例えば猫の画像を認識する場合、まずは下層で「耳がある」「毛が生えている」と理解し、次の層はこの情報から「動物の可能性が高い」と判断されます。

実際には複雑に何層も存在していますが、これらの層を経て最終的に「これは猫だ」と理解するようになります。

「ディープラーニング」と「ディープラーニング以外の機械学習」の違いについて表でまとめましたのでご覧ください。

学習時間学習に必要なデータ量コンピュータのスペック
ディープラーニング長い多い高スペックが必要
ディープラーニング以外の機械学習短い少ないディープラーニングよりは低スペックで可能

ディープラーニングの技術が2023年現在のAIブーム火付け役になっていることは間違いありません。ただ上記の表の通り、デメリットも少なくありません。学習に必要なデータ量やコンピュータのスペックから、ディープラーニング以外の機械学習よりも開発コストが高くなる傾向があります。

ディープラーニングの活用事例

最近話題になっているAIを含め、精度が高いAIは基本的にディープラーニングの技術を活用していることが多いです。具体例は下記のものが挙げられます。

  • Siri
  • Google翻訳
  • ChatGPT
  • Stable Diffusion

Google翻訳やSiriも以前はさほど精度が高くありませんでしたが、ディープラーニングを活用してから格段に向上しました。

多くの人が利用するツールの他にも、下記の専門領域においてディープラーニングが活用されています。

  • 自動運転
  • 医療診断
  • 気候変動予測

機械学習以外にもAIは存在している

AIと聞くと「機械学習」や「ディープラーニング」といった言葉を耳にすることが多いですが、それ以外のAI手法ももちろん存在します。

具体例は以下をご覧ください。

  • ルールベースのAI:定義した規則や手順に基づいて動作するAI
  • 自然言語処理(NLP):人間の言葉を理解・解釈・生成するAI
  • コンピュータビジョン:コンピュータに人間と同じような視覚認識機能を提供する技術

いずれの手法も単独で使われているわけではなく、機械学習やディープラーニングと併用されていることが多いです。複数のAI手法を組み合わせることによって高精度な技術が実現できているのです。

例えば自動運転の技術には、機械学習の他に自然言語処理(NLP)やコンピュータビジョンなど複数のAI技術が用いられています。

AIと機械学習、ディープラーニングの違いを正しく理解しよう

今回はAIと機械学習、ディープラーニングの違いについて具体例を交えて解説しました。

記事内で紹介したように、機械学習やディープラーニングなどの技術を用いることによって日常生活が便利になっていることは間違いありません。

また、ディープラーニングについては比較的最近出てきた技術であり、今後もますます色々な場面で活用されていくでしょう。

ChatGPTに限らず今後もさらにAIや機械学習、ディープラーニングの技術は私たちの身近なところに現れてくることは確実です。

これらのワードを正しく理解することでAIツール活用の幅が広がると思うので、ぜひ勉強してみてください。

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この記事を書いた人

師田賢人のアバター 師田賢人 Harmonic Society株式会社 代表取締役

Harmonic Society株式会社 代表取締役。一橋大学(商学部)を卒業後、Accenture Japanに入社。その後、プログラマーに転職し独立。最先端テクノロジー分野を専門とするライターとして、100社以上と取引、300名以上に取材をする。AIと倫理および哲学に興味・関心がある。

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