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ニューラルネットワークとは?仕組みや具体的から活用事例まで詳しく解説

現在のAIの基本にはニューラルネットワーク(Neural Network)があります。最近話題を集めているディープラーニングも、ニューラルネットワークが発展したものです。AIを理解しようと思うと、まずニューラルネットワークを理解する必要があります。

今回はニューラルネットワークの仕組みや具体的な活用例まで詳しく解説します。

目次

ニューラルネットワークの仕組み

ニューラルネットワークは、人間の脳の仕組みを真似して設計された情報処理のための数理モデル。ニューロン(生物の脳にある神経細胞)で行われる情報を伝搬する仕組みを計算式にまで落とし込み、数学的にモデル化したものです。

成人脳にはこのニューロンが1000億個あるとも言われており、複雑に絡み合い、それぞれが信号の伝達を行うことで高度な情報処理が実現されています。

そして、ニューラルネットワークの基本となるのが、この「人工ニューロン」です。複数の人工ニューロンが層状に組み合わされていて、情報を受け取り、処理し、他のニューロンに伝えます。各ニューロンは、入力データに対する「重み」と呼ばれるパラメータを持っており、「重み」は学習アルゴリズムによって自動的に調整されるのです。

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ニューラルネットワークにおける3つの層

ニューラルネットワークは3つの層によって構成されています。「入力層」「中間層」「出力層」がそれぞれ協力してデータに対する計算結果を出力しています。

入力層ではデータを収集する役割を担っていて、中間層ではパターン認識に必要な計算をすべて行います。中間層は何層にも分かれていることもあり、それによって複雑な計算も可能にしています。出力層では中間層で行った計算の結果を出力します。

  • 入力層(Input Layer): データをネットワークに供給する部分。例えば、画像の場合、ピクセルの値やテキストの場合、単語や文字の特徴が入力されます。
  • 中間層(Hidden Layer): 入力層と出力層の間に存在する1つ以上の層のこと。ここで情報を受け取り、処理を行います。各中間層には、複数のニューロンが存在します。
  • 出力層(Output Layer): ネットワークからの最終的な結果が出力される層です。例えば、画像が猫か犬かを分類する場合、出力層は「猫」と「犬」の2つのニューロンが出力されます。

ある画像に、りんごが写っているかどうかを判定するという「単純」な問題を想像してみましょう。人間にとってはすぐにりんごかどうか判別するのは簡単なことですが、コンピュータが従来の方法で画像の中のりんごを識別するのは非常に困難です。

画像に写っているりんごは、丸ごとなのか、断面なのか、おやつ用のくし切りなのか、はたまた青りんごなのか、すべてのシナリオを考慮してコードを書くことはほとんど不可能と言えます。しかし、ニューラルネットワークを用いることで、プログラムは画像内のコンテンツを理解することができるようになります。

多くのりんご画像を学習処理した後、アルゴリズムは、画像にりんごが写っているかどうかを判断する際に考慮すべき要素とそれぞれの関係性、重要度に関するモデルを持つようになります。

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ニューラルネットワークの学習とアルゴリズム

ニューラルネットワークの学習は、トレーニングデータと呼ばれる入力データとその正解ラベルのペアを使用して行われます。学習アルゴリズムは、予測結果と正解ラベルの間の誤差を最小化するように重みを調整することにより、ネットワークは入力データのパターンや関係を学習し、未知のデータに対して予測を行います。

例えば、手書き数字の認識を行うニューラルネットワークでは、入力層には画像のピクセル値が入力され、中間層や出力層では画像に対するパターンや特徴を学習します。最終的に、出力層のニューロンがそれぞれの数字に対応し、最も活性化が高いニューロンが予測結果となります。
この学習は、画像・音声・テキストなどのデータ処理や分類、異常検知、生成モデルなど、さまざまなタスクに利用されています。

ニューラルネットワークと機械学習の関係

ニューラルネットワークは、機械学習におけるトピックのひとつであり、その中でも特に重要なモデルです。機械学習はAIの一分野であり、コンピュータープログラムが自動的に学習し、データからパターンを抽出し、予測や意思決定を行えるようにします。
ニューラルネットワークは機械学習の中でデータ処理やパターン認識のための手法として用いられています。

ニューラルネットワークは、機械学習の一種である「教師あり学習」や「教師なし学習」、「ディープラーニング」の手法として利用されます。教師あり学習では、トレーニングデータと呼ばれる入力と正解のペアを使用して、ニューラルネットワークの重みを学習します。重みは、トレーニングデータの特徴やパターンを捉えるために自動的に調整されます。

ニューラルネットワークを使った機械学習では、大量のデータを使用してネットワークの重みを学習させることで、データに潜むパターンや関係性を自動的に学習します。この学習プロセスにより、ネットワークは未知のデータに対して予測を行えます。

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ニューラルネットワークとディープラーニングの関係

ニューラルネットワークとディープラーニングは密接に関連していて、ディープラーニングは、ニューラルネットワークを用いた特定の機械学習の手法やアプローチのことを指しています。

層を深くしたニューラルネットワークは、学習コストが上がるものの、それだけ複雑な問題を解く可能性を秘めています。

そのような層を深くしたニューラルネットワークを「ディープニューラルネットワーク(DNN)」と呼び、DNNを使った機械学習のことを「ディープラーニング」と呼びます。

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ニューラルネットワークの種類

オートエンコーダ

オートエンコーダ(autoencoder)は、情報量を小さくした特徴表現を獲得するための技術です。基本のオートエンコーダは入力層と出力層が同じになるように学習を進めます。
この学習により、入力層と出力層の差を計算することで異常検知などに使うことができます。

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)

CNNは、何段もの深い層を持つニューラルネットワークで、特に画像認識の分野で優れた性能を発揮しているネットワークです。CNNは、主に一般物体認識と呼ばれる画像認識のタスクで優れた性能を持つアルゴリズムとして使われています。

リカレントニューラルネットワーク(RNN)

RNNでは時系列データの予測が応用されています。時系列データとはある地点、時間で計測されたデータをそれぞれが独立したデータとして扱うのではなく、ある地点から前後と関連性があるデータとして捉えることができるデータのこと。

例えば、年度ごとのA社の売上高、1時間ごとの東京都の降水量、地球上で発生した地震の時刻と場所、震度などの記録といったものが挙げられます。

これまでのニューラルネットワークではそれぞれの出力に関連性を持たせることはできませんでしたが。RNNでは1つ前の層からの入力だけではなく、時系列のデータを入力することができます。

その機能がはたらき、関連性があるデータどうしをつなげることができています。この技術は主に、自然言語処理や音声処理などに用いられており、スマートスピーカーなどに使われている技術です。

ニューラルネットワークの具体的な活用事例

パターンを認識して簡単な判断を行うことができるニューラルネットワークには、さまざまな用途で活用されています。

たとえば自動運転技術。入力層は、自動車の計器から信号を読み取り、出力ユニットは車の制御を適切に変更して、安全に運転できるようにします。

工場では品質管理にニューラルネットワークを使うことができます。ひとつのプロダクトの検品作業を想定すると、色、大きさ、品質などをさまざまな方法で測定し、その測定値を入力してニューラルネットワークに与えると、そのプロダクトが規定値に達しているか否かをニューラルネットワークに判断させることができます。

私たちが日常的に行っていることの多くは、パターンを認識して意思決定を行うことであり、ニューラルネットワークはさまざまな形で私たちの生活に関わっています。株式市場や天気の予測、敵の航空機や船舶を自動的に識別するレーダースキャンシステムの運用、さらには医師が複雑な症状から病気を診断するのにも役立ちます。

ニューラルネットワークの能力は、大量のデータと適切なモデル設計、適切な学習手法と組み合わせることで発揮されます。

ニューラルネットワークの今後の展開

ニューラルネットワークは現在も研究と開発が進められており、将来の展望も非常に興味深いものです。

モデルの拡張と改良

ニューラルネットワークのモデルは現在も進化し続けています。新しいアーキテクチャやレイヤーの提案、最適化アルゴリズムの改善などが行われています。より効率的でパワフルなモデルの開発が進められ、さらなる高度なタスクやデータの解析が可能になるでしょう。

解釈可能性の向上

ニューラルネットワークのブラックボックス性に対する取り組みが進んでいます。将来的には、モデルの予測や意思決定のプロセスを解釈しやすくする手法やツールが開発されると予測されています。これにより、ニューラルネットワークがより信頼性の高い結果を提供し、意思決定の裏付けや説明が容易になるでしょう。

小型化とエネルギー効率の向上

ニューラルネットワークの実装は、現在は主に高性能なコンピュータやグラフィックスカードを使用しています。しかし、将来的にはより小型で省エネルギーなデバイスやアーキテクチャが開発されそうです。これにより、リアルタイムでのエッジデバイスや組み込みシステムへの展開が促進されるでしょう。

転移学習と自己教師あり学習

転移学習は、あるタスクで学習された知識を別の関連するタスクに転用する手法。将来的には、転移学習の方法がさらに進化し、少量のデータでも高い性能を発揮できるようになるでしょう。また、自己教師あり学習と呼ばれる手法も注目を集めており、ラベル付けされていないデータからの学習やモデルの自己生成が可能になるかもしれません。

技術の進歩や研究の進展により、新たなアイデアや手法が生まれ、私たちの生活や社会にさまざまなインパクトをもたらすことが期待されます。

基礎が発展するとAI技術も飛躍する!

AIが活用された技術は、今や生活と切り離せない重要なツールとなっています。

ニューラルネットワークはAIの基礎であり、基礎が発展するとできることも飛躍的に増えることが考えられます。

さまざまな課題をクリアし、さらに扱いやすく便利なものになると、私たちの生活も必然的により豊かに、より便利になります。

ニューラルネットワークをはじめ、AIの技術発展の今後に注目です。

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この記事を書いた人

師田賢人のアバター 師田賢人 Harmonic Society株式会社 代表取締役

Harmonic Society株式会社 代表取締役。一橋大学(商学部)を卒業後、Accenture Japanに入社。その後、プログラマーに転職し独立。最先端テクノロジー分野を専門とするライターとして、100社以上と取引、300名以上に取材をする。AIと倫理および哲学に興味・関心がある。

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